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近代的なアパ-トの朝。構造上や使用建材の種類でアパートは普通の家屋やマンションよりも手間がかかる代物だったが、現在はトタンやむき出しの外階段もなりをひそめ描きやすいデザインに変わってきた。エアコンの室外機は必須になってきているがこうした同じ形の物を複数並べるのはデジタルのむしろ強み。
作画:5時間弱/仕上げ50分
住宅地に残っている瀟洒な日本家屋、という設定の家。旧家というほど大げさではなく和風というようなオーダー。門構えと庭木、家屋は別々の資料から組み合わせている。この機会に二種類の庭木のトレース素材と瓦のテクスチャーを新規に自作。仕上げは別担当の線画のみの仕事。
作画:4時間強
シンプルに見えて切込みと屋根の関係が意外に難しい立体の一戸建て。極力ベタを使用しない指定あり。壁のテクスチャはレンガトーンをコミスタのトーン変形機能で面ごとに変形して貼り込み。この機能はドットは歪まずに維持されるので影トーンとモアレを起こさず重ねられる。こうした複雑なしかしリアリティを損ねないトーンワークもデジタルならでは。
作画:7時間弱/仕上げ1時間50分
某漫画家養成学校の課題用の背景作画。
同じ線画を用い仕上げの違いで季節と天候を表現する課題。その基本線画と仕上げ見本のバリエーション8種すべてを担当したため、作画は通常の3倍、仕上げは8倍の手間を要し、延べ三日間の作業に。
作画:15時間強/仕上げ13時間強
作中のお嬢様キャラのお屋敷。モデルは東映系のヒーローものや刑事ドラマの撮影に使われるおなじみの洋館で、右京さんが事件を解決したこともあれば悪の組織のアジトになったことも。某残念系アニメでもやはりお嬢様キャラの邸宅に使われた。クライアントからの指定で中央棟部分を並んで二つに増殖させてある。
作画:8時間強/仕上げ50分
ミッション系お嬢様学校。という設定だが、外観からしてそうと判る学校は現実にはあまり存在せず、そのまま使える写真資料は見つけられず。苦肉の策で鉄筋の普通の校舎にチャペルの意匠を組み合わせてそれらしくでっちあげた一品。
作画:5時間弱/仕上げ1時間
温泉旅館外観。記憶が曖昧なのだが、確か一階と二階、玄関のひさし部分と灯篭や石畳はそれぞれ別の旅館をモデルに組み合わせたものだったと思う。
作画:5時間半/仕上げ30分
その露天風呂。手前の岩部分と奥の景色はやはり別の温泉の物を組み合わせた。コントラストがくっきりし過ぎて温泉らしさに欠けるのは湯気が無いせい。湯気はキャラクターに合わせて後入れの指示だったので未作画での提出。
作画:5時間弱/仕上げ15分
これも同じ線画を元に様々な夜間表現の仕上げをする課題の問題作成。もっとベタが多い場合等、やはり数種のバリエーションの仕上げ見本を作成しているので、通常の倍の時間を要している。
作画:7時間弱/仕上げ1時間30分
夕方、繁華街、ビル、ぐらいの指定で描いたと思う。
作画:2時間30分/仕上げ25分
在宅デジタルを始めたばかりの頃に書いたモブ込みの繁華街トレース。街路樹はベタとトーンの二種のトレースを重ねるという今ならやらない手間のかかる凝った処理をしている。
作画:8時間弱/仕上げ3時間40分
指定にぴったりくる資料が見つけられず、記憶のみで描いた繁華街脇の大通り。
トレースの繁華街と見比べるとリアリティレベルの差がよくわかる。
作画:4時間弱/仕上げ40分
線画のみの依頼の電車とプラットホーム。
汎用性が高そうに見えて、車輛も屋根も意外に個性が強く場所や路線がなんとなく特定できてしまい「どこかの駅のよくある電車」には案外ならないらしいことをこの時知った。
作画:5時間弱
改札はどこをキャラが通っても良いように全て別パーツ。線の密度も高く予想以上の手間だったが、時給換算ではなく一点いくらで受けた仕事だったので正直大赤字。だが、パーツの流用性が高く、使いまわしの許可をもらったので現在は補填できていると思う。
作画:7時間強
書店コミックコーナー。こうしたPOPやパッケージデザインなどをそれらしく仕上げるのは言わばついつい力が入る趣味の領域。むしろ凝るなと言われると困る。
これらのトーン処理はほぼ作画に準ずるのでボーダレスな作業。4コマトータルでおよそ15時間作業。
大きな公園のテーブル型噴水。水表現はスーパーリアルと記号的表現の中間を採用。
ショッピングモール。三階一望の吹き抜けに手すり、空中回廊と複雑な構造を再利用前提で複数パーツで構成。にもかかわらず追加要素のある形での再利用はなかった。だからと言って、一枚レイヤー作画でも済んだというのはあくまで結果論。
作画:8時間弱/仕上げ1時間20分
撮影スタジオ。タレントキャラのCM撮影のシーンにて。クレーンカメラを含む各機器類、照明等はやはり複数の資料を元にしたコラージュ。リアルな舞台での物語を追うというより、記号的な舞台装置のわかりやすさが主眼だったので、ベタなそれらしさを最優先。
作画:6時間弱/仕上げ45分
通学路中の児童公園。
どこにでもありそうな風景の様だが、実は資料から採用したのは手前の入り口のみ。
人は全く違う位置からの風景を合成して記憶するので、現実には記憶での印象ほどバランスの取れた配置でそこから遊具が見えていたりはしないのだ。それをあえて印象通りの風景として描写するのが漫画の背景である。
作画:4時間弱/仕上げ30分
人工島から延びる防波堤。
手前のテトラポットの半分は複製を回転や反転して増殖させている。遠景のテトラポットはこのカットのためにテトラポットのパターンブラシを作成。ブラシサイズを4段階変えることで遠近感を作っている。
この他にも自作したパターンブラシで珍しいものには、パーティ飾りの紙チェーン、スタジアムの観客、ホラー用の人骨ブラシなどがある。
海面部分はフォトトーンのリアルな海を使用。沿岸付近にいきなりタワービルがそびえる人工島のわざとらしさに対してリアリティを補わせている。
作画時間:5時間弱/仕上げ1時間10分
多摩川的な河川敷付近の橋の下とその斬り返し対岸の風景2コマ。チョコレートブロックのテクスチャーは自作し、中央から左右に分けて二段の計4パーツを坂のパースに合わせて変形して使用。
トータル作画時間:6時間強/仕上げ40分
学校の階段と踊り場。
よくある風景だが、ポイントがすべてコマ内に収まるようにトリミングするのは思うより難しい。
トータル作画時間:3時間弱/仕上げ15分
スタンダードな学校の廊下。ところが実際の学校は学校によって、天袋の上にさらに壁があるところや柱の太さ窓のサイズなどまちまちで典型的な様式というのは実は全体印象に過ぎなかったりする。無個性の様で学校は案外個性的だ。そのマイナーチェンジの最大公約数的な部分がいわゆる何の変哲もない学校の風景なのだろう。
作画時間:2時間弱/仕上げ20分
渡り廊下の見える学校の中庭。新規で用意した学校中庭の資料を元に、校舎部分をすでに既出の背景のデザインに合わせて書き換え、更に渡り廊下を加えてある。
作画時間:5時間強
渡り廊下内側から。すのこは一度一つ一つバラバラに描いてから、角度や位置をずらして人の手で並べたリアリティを演出。これは教室の机椅子などでも用いる手法。
作画時間:5時間強
/ファンタジー世界のテントの中という設定。
指定により参考にしたのはジプシーや中東の遊牧民のテント。大ゴマかつ構成要素が多いため時間をかけることが許された一コマ。
作画:11時間強/仕上げ:約1時間半
同食堂テント。
テーブルや椅子は間に人物が入るため全て別パーツだが、その殆どが複製で済む。実は隙間に何が見えるか計算して埋めるより、実際のパーツを重ねてしまう方が簡単である。簡単ではあるが構成の手間はどうしてもかかる。
照明の灯り等の処理はデジタルになってリアルかつ処理が楽になった点。
作画:約9時間/仕上げ:約2時間半