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無人島の密林から岬を眺めた風景。現実離れした場所という設定なので、近景から中間をすっ飛ばして遠景というスケール感の狂いを狙いました。なのでサイズ感のバレるディティールを遠景の森林からはあえて省いています。
作画:4時間30分/仕上げ25分
寺の山門への長い石段。実際の資料はどれもここまでの遠近感はついていない。山門は実際はもっと大きいし、木も段状に連なっていたりもしない。距離感のデフォルメである。
作画:4時間強/仕上げ40分
河川敷の土手から夕陽を望む。連載の途中から参加した仕事で、引退した前任の背景スタッフが引き継ぎ前に描いた背景を元に、倍の横幅の全景を描くことになった。元絵は曲がった土手と橋の一部と夕陽のみの絵で前任者が参考にしたらしい資料も特定できなかった。そのため、左右の足りない部分は近い資料を参考に想像で描き起こしている。長い連載でスタッフが入れ替わるとこういう作業もよくある。作画:4時間弱/仕上げ45分
物語の舞台となる山村全景。同じ自然の風景でもこれだけパノラミックな見開きを描く事はそうそうない。封鎖された村なので周囲に張られた鉄条網は、遠景の物も含めて脱着可能の仕様。封鎖前の情景が再現できるようにとの指定。
流れの速い渓流。たまたま下絵が残っていたので比較で並べてみた。アナログ時代から下書きは黒と青鉛筆の2色を使い分けたが、デジタルではさらに複数の色分けが可能なのでパーツごとに色違いで下絵を描く。自然物の下絵は数分程度で時間をかけずざっくりフォルムを掴んだらあまり弄らない。ディティールはペン入れの段階でネチネチと根気よく。
作画:3時間半/仕上げ45分
同じ山村の別地点2カット。見渡す土地が広範囲に及ぶものほど誤魔化しか効かず時間がかかる。
上)作画:4時間半/仕上げ1時間10分
下)作画:7時間弱/仕上げ1時間45分
渓流にかかかる吊り橋の大ゴマ2点。二つは同じ地点の切り返しの関係になる。橋を渡る人物を前方向後ろ方向どちらで捉えるかによって生ずる2カットであり、ちょうど川も上りと下りの対比になっている。
一部共有する素材パーツを双方利用しているものの、近景中景の岩や崖はどうしてもレイアウトの地形に合わせた描き起こしになり、どちらもページ一枚分のサイズで手を抜く余地がない。
この時に作業の軽減化を狙って岩盤テクスチャのパターンブラシの自作を試みるが、あまりに不自然な仕上がりになりほぼ役に立たなかった。
2カット総合の作画時間:15時間強/仕上げ4時間弱
トンネル封鎖工事のカット。俯瞰のパースは配置、対比等の誤魔化しが効かず、立体を描き切る胆力と構成力が試される。資材、重機、警察車輛、舗装に石垣という人工物と遠近の植物(自然物)の複合という難しい絵。パーツ数も多い。
作画:12時間強/仕上げ2時間弱
奥深い樹海のトレース。上が線画のみで下が夜仕様のトーン仕上げ。書き込みの密度が高くコントラストもはっきりしてるので、ほんの一部分を除いて貼り分けはほぼいらずにグラデーショントーンにハイライトの削り処理程度で仕上げている。
作画:7時間半/仕上げ35分